大判例

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東京高等裁判所 昭和63年(う)553号 判決

被告人 大森喜代藏

〔抄 録〕

関係証拠によると、被告人は、当日、公安委員会の運転免許を受けないで、宇都宮市西二丁目六番一〇号所在の山口駐車場に停めていた本件自動車を運転して着替えをするため自宅に帰り、着替えをして自宅から右山口駐車場に戻る途中、原判示第一の日時場所において原判示第二の業務上過失傷害(以下「本件事故」という。)を起こし、被害者を救助し同人と話し合いをしたが、原判示第三のように右事故を警察官に報告することなく、事故の約二〇分後に本件自動車に被害者を同乗させて本件事故現場から約一キロメートル西方の同市駒生町一四一七番地所在の駐車場まで送り届けた後、当初の予定どおり同駐車場から約五・五キロメートル東南方の前記山口駐車場まで本件自動車を運転して戻った事実が認められる。

右認定の事実からすると、原判決は、本件事故をひき起こしたころの無免許運転を第一の事実、本件事故の約二〇分後に本件事故現場を立ち去るころの無免許運転を第四の事実として捕らえ、両者を別個の犯罪として処断していることが明らかであるが、関係証拠を検討してみても、被告人が、本件事故現場等において、無免許運転をとがめられるなどして運転を断念し、その後更に犯意を新たにして無免許運転を開始したような事実は認められず、かえって、当然のこととして当初からの予定どおり無免許運転を継続した事実が認められるのであるから、本件事故の前後にまたがる無免許運転は、同一の犯意に基づき継続的に行われた一連の無免許運転で、法律上一個の道路交通法違反の罪が成立するに過ぎないものと解するのが相当である。

(坂本 田村 泉山)

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